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すずはぼんやりと空を見上げその瞳は遠くを見つめていた
「すず……」
その姿は今のすずそのものなのか、さっきまでの楽しげな様子は微塵も感じられなかった
しばらくそんなすずに近寄れずに突っ立っていると、突然小さな男の子がぶつかった
その拍子に溶けだしていたソフトクリームがコーンからぽとりと落ちた
「まぁ!スミマセン!!」
駆け寄る男の子の母親が申しわけなさそうに謝る姿にこちらの方が申し訳なく感じ同じように頭を下げた
「うふっ、さくちゃん何してるの?!」
気がつくとすずが傍らに泣きそうな顔で佇む男の子に目線を合わせて座るとニコリと笑い頭を撫でた
「大丈夫だよ、また買えばいいんだから。ほら、笑って」
男の子はすずの顔を見るとコクリと頷き笑顔をつくった
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