- 28 -  朔夜side

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「朔夜くんのお姫様はさっきの子なのね」 振り向くとずぶ濡れになりながらもにこりと微笑んだ月乃さんが立っていた 「………」 「行ってきたら?! この雨の中おいてきちゃって心配なんでしょ」 「いや……でも……」 「捜さなくて後悔するより捜したけど見つからなかった方がずっとラクよ、ほら」 そう言った月乃さんは僕の背中をトンと両手で押し出した 「………ありがとう、月乃さん」 僕は彼女に伝えると押し寄せる人並みを逆行しながら降りしきる雨の中にもう一度飛び出した   すず、どこにいるんだ! 伏せながら走り来る人々の顔を覗きながら懸命に走った 見つからないかもしれないけれど、月乃さんの言うとおりだと思った .
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