- 31 -   朝陽side

11/12

1276人が本棚に入れています
本棚に追加
/797ページ
涼に会ったのはこの日だけだったが、俺の心の中に深く刻み込まれた それから数日後、貴史さんが母さんに会いに来た 俺は寝たふりをしていたが、貴史さんが枕元に立派な絵画セットを置いてくれた 誕生日でもクリスマスでもないこんな時期にプレゼントなんて飛び起きてすぐにでも広げたかった 貴史さんは俺の頭を撫でて 「朝陽がお母さんをまもってやるんだぞ 大人になったら一緒に酒でも飲もうな」 そう言って家をあとにした 隣の部屋から母さんのすすり泣く声がかすかに聞こえ、子どもながらにもう貴史さんに会えないことを察知したのだ .
/797ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1276人が本棚に入れています
本棚に追加