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涼に会ったのはこの日だけだったが、俺の心の中に深く刻み込まれた
それから数日後、貴史さんが母さんに会いに来た
俺は寝たふりをしていたが、貴史さんが枕元に立派な絵画セットを置いてくれた
誕生日でもクリスマスでもないこんな時期にプレゼントなんて飛び起きてすぐにでも広げたかった
貴史さんは俺の頭を撫でて
「朝陽がお母さんをまもってやるんだぞ
大人になったら一緒に酒でも飲もうな」
そう言って家をあとにした
隣の部屋から母さんのすすり泣く声がかすかに聞こえ、子どもながらにもう貴史さんに会えないことを察知したのだ
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