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    どこにいったんだろう? 私はもう一度そっと上目使いで盗み見る 「えっ!」 席から離れていたと思った朝陽は相変わらずそこにいて、どこから出してきたのかその手に黄色のアメを摘まみこちらに差し出してきた 「クククッ本当にお前は面白れぇな…… ほら、幸せ分けてやるから集中しろ」 朝陽の手からアメを受け取ると、今度こそ彼はその場から立ち上がり窓辺へと歩いていった 窓をスーッと開けると風が吹き抜けひらりとカーテンをなびかせた 大きな手でフレームを作り、正面の校門のある方からグランド側へとターンしゆっくりとそのままこちらを振り返った そのフレームの中から朝陽の 色素の薄い茶色の瞳に見つめられ身動きが取れなくなった .
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