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教室を飛び出す寸前、朝陽が呼び止めた気がした 私は振り返ることなく階段を一気に駆け降りていく 頭の中にはさっきの朝陽の言葉が回っていた 『涼………ホントに俺のこと好きなの? 伊川とお似合いなんじゃね?!』 私の気持ちはちゃんと伝わったと思っていたのに…… あの時声にならなかった言葉を私はもう一度繰り返した 「気持ちわかってるくせに…どぅして……」 瞳からは涙が次から次へと溢れ視界を遮っていく 私は早く学校から離れたくて無我夢中で走った 私の心と同調したかのように、さっきまで明るかった空色はどんよりと影を落とし始めたことにも気づかずに…… .
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