- 37 -  朝陽side

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はやる気持ちを抑え保健室へと階段を降りていく 「キャッ!」 階段の曲がり角で不意に人とぶつかりその身体を受け止めた ふわりと広がる香水の香りに心の中で思わず舌打ちしてしまう 「大丈夫ですか?城崎先生」 俺の身体に顔を埋めたままの彼女を引き剥がすと、落としてしまった涼の課題や筆記用具に手を伸ばした 「ヤダ…朝陽先生……ごめんなさい」 城崎先生は顔を赤らめ俺と同じようにしゃがみこ床に広がった課題に手を伸ばした 「あら?これ夕凪さんの……」 プリントの名前を目にし呟く城崎先生の手から俺はそれをさっと引き抜くとニコリと作り笑いを作った 「急いでるんでスミマセン」 そのまま階段を降りていこうとすると後ろから城崎先生のクスクスと笑う声が聞こえてきた .
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