- 37 -  朝陽side

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その笑いがなぜか 癇にさわりその場立ち止まってしまう カツカツとハイヒールの音が階段を近づいて香水の匂いが鼻をついた 「ふたりで追いかけっこですか?」 笑いを含んだその言葉に振り返ると城崎先生はそっと肩に手を置くと耳元に口を近づけ囁いた 「生徒と噂になるなんて、朝陽先生らしくないわ ウフッ」 顔の真横に並んだ城崎先生をギロリとにらみつけ声のトーンを落とした 「何が言いたい?」 俺の声に少し驚いた表情を作りさっと一歩離れる城崎先生 少し引きつったままの顔でクスリと笑うと両手を軽く挙げてみせる 「いゃ~ん怖い~ そんなに睨まないで でも、女の子たちの中でかなり噂になってるから気をつけてください」 そのまま階段を上がり出す城崎先生の後ろ姿にトーンを変えず声をかけた 「で、どっちへ行った?」 城崎先生は笑顔を見せずチラリとだけ振り返るとまた歩き出し呟いていった 「さぁ~、自分でお捜しになったら」 .
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