- 37 -  朝陽side

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公園の遊具を覗きながらここにはいないんじゃないかと焦りを覚え始めた 「涼頼む、いるなら返事しろ!」 ………いや、むしろ家に帰ってくれていると助かるのだが 俺は淡い期待も持ちつつ背を低くして覗き込んでいく 公園の一番隅の遊具の影に学生鞄がチラリと見え息が詰まりそうになった ぬかるみに足を滑らしながらそこへ駆け込んだ 「涼!」 膝を付き勢いよく覗き込むとそこには涼が遊具にもたれ掛かりながら座り込んでいた 「ハァハァ……あ…さひ……」 涼の手には吸入器が握りしめられ目が虚ろになっていた 俺は自分のジャケットを気休めに涼にかけてやった .
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