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「すずちゃん、さくちゃんが迎えにきてくれたわよ。」 「はぁい、今行くから」 お母さんの声が玄関から響き私は姿見の前で身だしなみのチェックをした 昨日は吸入器もちゃんと使っていたし、何より早くに体を温めたお陰で呼吸が乱れることなくすんだ ただお母さんからさくちゃんと一緒ならと通学の許可が出ていたのだ 「よしっ!」 私は鏡の中の自分に気合いを入れて朝陽のジャケットの入った袋を手にした 「すずちゃん………」 「ん?なに?」 靴を履いているとお母さんが声をかけてきた 「……ううん、何でもない。いってらっしゃい」 お母さんは少し言葉を濁し手を振った 「お母さんもう平気だから! いってきます」 .
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