- 43 -  朔夜side

6/8
前へ
/797ページ
次へ
発作と聞いた僕は勉強をしていても窓の外ばかり見ていた 窓の外に見えるすずの部屋にはいまだに灯りもつかず静まりかえっていた すずの部屋の閉め切られた窓には空に浮かぶ月が映り込み仄かに輝いている 微かにすずの部屋のカーテンが揺れたかと思うと、暗がりの中にすずの姿が見えた すずはふらりと窓辺に立ち夜空を見上げた だけどその表情(かお)にはなぜか覇気がなかった 「………すず」 僕は窓を開けると控えめに声をかけてみた .
/797ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1277人が本棚に入れています
本棚に追加