前日とすれ違い

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悠紀の事だから直ぐに追い返すと思って気にしてなかった。 また私の所に戻って来てくると思ってたから。 けど…青菜ちゃんは…違った。 どんどん噂を聞くたびに不安になった。 悠紀が変わったと、婚約者を本当に大切に思っていると… 私が今までどれだけ悠紀を想って…好きで… 「明日香…?」 悠紀も立ち上がり、私の近くに来る。 私は下に向いていた顔をあげて悠紀を見た。 「悠紀が好きなの…」 私は悠紀に抱きついた。 「ずっとずっと好きだった…」 「明日香…」 そっと肩に置かれた手。 分かってる。この手は私を抱きしめてはくれない…。 私は抱きしめていた手を緩めるとそのまま少し離れる。 「悠紀…」 少し背伸びをして、悠紀の唇に自分の唇を重ねた。 ドサッー… 物が落ちる音がして悠紀の唇から離れ、目を開けるとそこには青菜ちゃんと樹君が立っていた。 「明日香、何するんだ……、青菜…」 時が止まるとはこの事なんだろう。 呆然と立ち尽くす青菜。 俺は何も言えずたったまま。 この沈黙を破ったのは樹だった。 「明日香さん、ここにいたんですね。もしかして、お邪魔でしたか…?」 言葉を聞いて青菜は部屋から走って出て行く。 「青菜ちゃん!どこ行くの!?」 樹が青菜に続いて直ぐに部屋を出て行く。 「青菜!!」 直ぐに追いかけようとするが、それは直ぐにとめられた。 明日香が俺の服を掴む。 「行かないで悠紀!!」 「明日香、放してくれ!」 「嫌!悠紀、行かないで!どうしても、行くって言うなら、私、死ぬわ!」 ポケットから小さなカッターナイフを取り出し、首につける。 「止めろ、明日香!」 直ぐに明日香からカッターナイフを取り上げ、首の辺りをトンッと叩き気絶をさせた。 「樹!青菜は!?」
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