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「……なにこれ?説明してくれる?」
混乱しすぎて逆に冷静になった
腕はあたしの…だと思う
けど、この模様は……
「どうやら「あっち側」に持っていかれたみたいね…」
「あっち側…?」
「えぇ、冥府……信長が創りあげた地獄よ」
ガラシャは能力で創造したであろうバスローブをあたしにかけてくれた
(服を出してくれればいいのに)と思ったのは内緒
「地獄ってあの地獄?」
「んー…ちょっと違うかな。ヒカリがイメージしたのは死者の国でしょ?でも信長の創った地獄は死者になる前……生者の魂が天に昇る途中で捕らえられる場所…」
ガラシャは怒りを抑えながら話しているようだった
「明智光秀もそこに…?」
「…………」
ガラシャは何も言わずに空を見上げた…
それが答えなのだろう
「…ごめん」
「いいのよ♪奪われたなら奪い返せばいいだけだから!」
この人はもう何度、空を見上げたのだろう
何度、涙を流したのだろう
「想像」もできない悲しみを抱えていることを
あたしにも「想像」できた
同時に、信長への強い怒りの感情が込み上げる
「明智光秀を、ガラシャのお父さんを助けようっ!」
あたしはガラシャの肩を掴み
真っ直ぐに瞳を見た
「う、うん…どうしたのさ、急に…」
「わかんないっ!けどっ!やらなきゃいけない気がするっ!」
「ヒカリ……」
ガラシャはあたしの手を肩から下ろすと
背を向けてまた空を見上げた
「熱くなっちゃってバカみたい!ただの女子大生のくせにぃ…」
月の光がガラシャを照らす
その頬に一瞬だけ光の粒が流れた
まるで夜空の流れ星のように……
「あっ……腕の説明がまだなんですけど……」
「………バーカ………」
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