謀反

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「ヒカリー、起きなさい!ヒカリ!」 「んー……」 「あんた今日誕生日でしょ?もう20歳になるんだからシャキッとしなさい!」 「あたしキャベツ目指してないし……」 「………………」 ゴンッ!! あたしの名前は「明智 光」 所謂普通の大学生 しかし休日は家でゴロゴロしてるだけの非リア充 あの有名な「明智 光秀」の子孫らしい 小学生のときに「本能寺の変」を授業でやってからアダ名は「ヒデ」 女の子につけるアダ名ランキングがあったらダントツでワースト1位だと思う 「あっ、おじいちゃんが呼んでたわよ。いつものとこに居るから」 「おじいちゃんが?なんだろ…」 我が家には大きくて汚い「書庫」がある おじいちゃんはそこで生活している 寝るのもごはんを食べるのもラジオ体操も毎朝「書庫」の中 本に囲まれてると落ち着くのだとか… 中庭の隅にある「それ」は 昼間でも陽は当たらず 夜になればその姿を確認することもできない なぜおじいちゃんがこんな世界で生活しているのか そんなことを考えている間に入り口に立っていた 重くて分厚い鉄製の扉 やっと最近1人で開けられるようになった その中は薄暗く、申し訳程度に吊るされた提灯が1つだけ 「おはよう、ヒカリ」 おじいちゃんと呼ぶには失礼かと思うほど若々しいおじいちゃん 綺麗に整った白髪に鋭い眼光 裸を見たことはないけど恐らく「細マッチョ」だろう 嫌いではないがちょっとだけ怖い人 「ヒカリ、こっちへ来なさい。プレゼントをやろう」 そう言って、一冊の本をあたしに渡した 「これって…」 それはあたしが小学生のときに使っていた「歴史の教科書」だった 「いいから、本能寺の変を見なさい」 あたしの言葉を遮って、とても低く穏やかなトーンでおじいちゃんは言った 不思議に思いながらもパラパラとページをめくり、そこへ辿り着く 「明智光秀は本能寺にて織田信長のクーデターにより自害……」 「それが真実だ。」 あたしは走った 全速力なんていつ以来か 書庫から玄関までの短い間で2回は転んだ 玄関ではサンダルがこんなにも脱ぎにくいものなんだと思い知らされた そこからも何度壁にぶつかったことか… そしてお母さんの部屋の戸を開け言った 「お母さんっ!本能寺が変っ!!」
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