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「な、なんで…」
「ヒカリさんわぁ、ミッチーの血が濃く受け継がれてるんですぅ♪放っておくとぉ、僕がめんどくさいことになるので今ここで殺っちゃおっかなって♪」
自分の死をここまで軽く宣告されたのに
怖くて堪らない
震えてる
「そう思ったんですがぁ♪可哀想なのでチャンスをあげまぁーす♪」
(チャンス)その言葉にあたしの心は緩んでしまった
地獄に垂らされた一本の糸
飛びつくしかなかった
結末を知っていたはずなのに
「なんてウソー♪アハハッ♪」
「あっ……そん……な……」
「信長様っ!!いい加減にしてくださいっ!!やるなら早くっ!!」
ショックだった
少年の嘘とかじゃなくて
おじいちゃんの変な「態度」や
おじいちゃんが知っていたことが
今日、あたしが殺されることに抵抗しないことが
「ハァーイ♪……でもいいんですかぁ?お孫さんが殺されちゃうんですよぉ♪ふふっ♪」
「…………」
少年はおじいちゃんの気持ちなんてどうでもいいんだ
あたしを極限まで絶望させたいだけ
ただ、それだけ
もう限界だ…
「じゃ、殺っちゃいますねぇ♪」
「ふ……ざ……な」
「えぇー?なんですかぁヒカリさん♪聞こえませんよぉ♪」
「……ふざけるなぁぁ!!」
あたしの中の何かが外に出てくるような感覚
全身を青白い光が包み違和感が走る
まるで自分の身体じゃないみたい
だけど、何故か心地良い
「くっ、貴様ぁぁ!!また邪魔をするというのかっ!!」
さっきまでのふざけた喋り方を崩し
怒りで表情(かお)を歪ませる少年
「サルっ!退くぞっ!」
「はっ!!」
少年信長と「サル」と呼ばれたおじいちゃんは一瞬で消えた…
あたしはその場で呆然としていた
まだ動かないままのお母さん
身体の違和感もそのままだ
「ヒカリ……」
何処からか声が聞こえる
聞き覚えのない女性の声だ
「ヒカリ。私の声が聞こえるか?私は光秀だ」
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