失われた想い

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失われた想い

「うっわ、そんなこと言ったの、あいつ?  やべ~…… 記憶取り戻したら、自殺すんじゃねぇの?」 「…………笑いごとじゃないんだけど」  言葉とは裏腹に、笑いながら私を見るトオルくんを、軽くにらんだ。  ───テナント会が行っている三ヶ月に一度の親睦会。 今回は居酒屋・神紋(じんもん)でやることになっていて 「ああ、トオルくんの実家なんだっけ」 なんて思いながら、席についた時。 注文取りに来た、まさにその人がトオルくんだったのだ。 「店長、お先です!」 「おう、お疲れ。明日も頼むな~」  紺色の作務衣から私服に着替えた青年が、トオルくんに頭を下げていく。
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