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先輩が携帯をカバンにしまった。
「明日もこの時間帯に会えるかな? 今日は用事があって無理なんだけど、明日は一緒に帰ろう」
スラスラと台本を読むように語る口は少し冷たく感じたけど、
「…え? はいっ!」
でも、それはきっと先輩も緊張しているんだ。
「じゃあ、明日の17時、ここでいい?」
「はい」
「よかった」
私の返事を聞いて輝いた笑みを向けてくれて、体温が突如、急上昇。
「それじゃ、また明日」
大好きな人の笑顔を見るだけで心が躍ってしまう。
「はい! 遅れないように、必ず来ます」
私は、反対の方角へ去り行く先輩の後姿を、見えなくなるまでぼーっと見送った。
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