第13話

21/40
前へ
/40ページ
次へ
代りに聞こえたのは、ふッというオオカミさんの笑うときに漏れる吐息。 「え、と……どうしたんですか? ――ッ……」 目を開けて、予想以上に近い距離に思わず身を引く。 「イヤ、何も?」 何でもないって顔してないですよ……。 それに、少し……。 ――足りない。 まだ感触の残る唇を隠すように歯で甘噛む。 言えないけど……。 少し体を起こしたオオカミさんは、わたしの首元の髪に顔を埋めた。 息が首にかかる。 オオカミさんの髪がくすぐったくて。 「どうしたんですか?」
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1073人が本棚に入れています
本棚に追加