1073人が本棚に入れています
本棚に追加
代りに聞こえたのは、ふッというオオカミさんの笑うときに漏れる吐息。
「え、と……どうしたんですか? ――ッ……」
目を開けて、予想以上に近い距離に思わず身を引く。
「イヤ、何も?」
何でもないって顔してないですよ……。
それに、少し……。
――足りない。
まだ感触の残る唇を隠すように歯で甘噛む。
言えないけど……。
少し体を起こしたオオカミさんは、わたしの首元の髪に顔を埋めた。
息が首にかかる。
オオカミさんの髪がくすぐったくて。
「どうしたんですか?」
最初のコメントを投稿しよう!