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そう言って私を見る俊哉に、私は緊張の糸が切れてその場にへたり込んだ。
「オイオイ!大丈夫か?って、怖かったもんな?」
「ゴメンね!詩帆ちゃん本当にゴメン!」
「う、うん…大丈夫…ハッ!」
フラフラとしながら立ち上がる北条は、まだ戦意を失っておらずに此方を睨んでいた。
「ッ!北条…!」
「まだ…私は…負けて、ないッ!」
「タフだな?お前。ワリと本気で投げたのによ?」
そう言って臨戦態勢になった倒城に、私は「ま、待って!」と言って彼を引き止めた。
「何で止めんだ?コイツはお前を…」
「そうだけど…これ以上、乱暴しないで!」
私は何も考えずに北条に背を向けて両腕を広げた。
「何の…つもり?同情?」
「そうじゃないよ。アタシ、この2人に救われたの。それに…これ以上見てられないの!」
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