第3章

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確かに、北条がしたことは悪い事だ。 でも、この結末を私は望んではいない。 「北条、さん…私の身体、見て判る通り包帯だらけでしょ?…驚かないでね?」 北条に振り向く私は、左腕の包帯と眼帯を外し、火傷痕を彼女に見せた。 「…その火傷は?」 「子供の頃に、アタシは火事でこの火傷を負ったの。それに…」 私は左手を北条に見せると、彼女は絶句しながら「アナタ…その指」と言って口元を抑える。 「…アタシは、この姿になってから、自分は生きてるのか死んでるのか、生きたいのか死にたいのか判らないまま、ダラダラと生活してきたの…でも、2人はアタシのこの姿を見ても、全然気にしないって言ってくれたの。香奈代さんも、アタシに似合う服を選んでくれたの。だから…その…えっと…」 「もう良いです。東間さん…」 そう言って笑顔になる北条は、私に頭を深々と下げた。 「アナタに対する数々の無礼、すみませんでした。それと、俊哉さん…本当にごめんなさい」 「お、おぅ…」 北条の態度の急変振りに戸惑う俊哉に、倒城は「チョイ待ち」と言いながら眼鏡を掛けた。 .
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