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何とも恥ずかしそうになる北条に、香奈代は「粗方の話しは昌彦から聞いたよ」と言って北条の顔を両手で挟む。
「え…?」
「ウチの代わりに怒った事は、まぁ許すとしても…詩帆ちゃんに怖い思いをさせたね?」
ゴンッと勢いを付けた頭突きをする香奈代は、そのまま北条の両頬を痛そうに掴む。
「もう二度と、こんな事をしないこと!判った?」
「ふぁ…ふぁい」
「つー事で、詩帆ちゃん、これで手打ちで良い?何ならまだ1、2発殴ろうか?」
「い、良いです良いです!」
そう香奈代に私は言うと、香奈代は俊哉に対して「家まで送ってやんな」と言った。
「あいよ(久々に見たなぁ…姉貴の必殺の頭突き…)」
「あ、あの!香奈代お姉様!」
店に戻ろうとした香奈代を呼ぶ北条は、着物の袖を掴みながら「また、遊んでくれますか?」と問い掛ける。
「バッカねぇ…構ってあげるわよ」
振り返らずに立ち去る香奈代に、北条は俊哉と私に声を掛けるまで、ずっと頭を下げ続けていた。
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