第3章

24/25
36人が本棚に入れています
本棚に追加
/266ページ
何とも恥ずかしそうになる北条に、香奈代は「粗方の話しは昌彦から聞いたよ」と言って北条の顔を両手で挟む。 「え…?」 「ウチの代わりに怒った事は、まぁ許すとしても…詩帆ちゃんに怖い思いをさせたね?」 ゴンッと勢いを付けた頭突きをする香奈代は、そのまま北条の両頬を痛そうに掴む。 「もう二度と、こんな事をしないこと!判った?」 「ふぁ…ふぁい」 「つー事で、詩帆ちゃん、これで手打ちで良い?何ならまだ1、2発殴ろうか?」 「い、良いです良いです!」 そう香奈代に私は言うと、香奈代は俊哉に対して「家まで送ってやんな」と言った。 「あいよ(久々に見たなぁ…姉貴の必殺の頭突き…)」 「あ、あの!香奈代お姉様!」 店に戻ろうとした香奈代を呼ぶ北条は、着物の袖を掴みながら「また、遊んでくれますか?」と問い掛ける。 「バッカねぇ…構ってあげるわよ」 振り返らずに立ち去る香奈代に、北条は俊哉と私に声を掛けるまで、ずっと頭を下げ続けていた。 .
/266ページ

最初のコメントを投稿しよう!