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政は再度引き出しをひっかきまわし、ひょうたんみたいなインク壺を取り出した。ツボのキャップには天冠と同じ白い星がついていた。キャップを取り、ペン先をツボに突っ込んで万年筆のおしりをくりくりと回し、加奈江が使っていたノートの端に軽く試し書きをする。
そして、「これ、使ってみろ」と言って自分のペンを差し出した。
ふたまわりは細い軸のペンは、確かに義父からもらったものより更に持ちやすかった。
書き味も、悪くない。
しかし……。
「線が、太い……。ペン先に埃か何かはさまっているのかな」
「違う、違う。それは太字で元々がそうなの」
「え? 太いとか細いとか、いろいろあるの?」
「うん。あるんだ。そうか、軸は俺の方、ペン先は親父の方がいいのか。今度の週末、文具店で見つくろってみるか」
「えーっ。いい、いい。気をつけながら書くから。そんな勿体ないことしなくていい」
「けど、持った時の感覚は大切だぞ。手は嘘をつかない。カナなら……違いが分かるはずだ」
……確かに。
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