【4】 黒い万年筆

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「ああ、いいなあ、こういうの」 加奈江はぽつりと言った。 普段なら、「何が?」と問い返す政は、口を開きかけて止めた。そして、こう言った。 「ああ、いいな、本当に」 柱時計が時を刻む音と、アズキが喉を鳴らす声。 穏やかな時がそのまま続きますように、と加奈江は思った。 今日も明日も、ずーっと先も。
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