19人が本棚に入れています
本棚に追加
政がやいやい言うのがおかしくて、加奈江は『人生の宿題』には触れず、「武先生にね、家族計画はきちんと立てておくんだよ、って言われたの」と茶目っ気を込めて言った。
彼女の髪を撫でる政の手が、ぴたりと止まる。
「それって、その……」
「あなたが考えている通りのこと」
あいつー、と政は呻く。
「まさか、親父も聞いちゃいないだろうな」
加奈江は困った顔をして沈黙した。
うわー、と政は布団の上で悶絶する。
「大きなお世話だ」
言う政の声は当惑を越えて照れている。
彼は健康な成人男子だし、加奈江も同様だ。
特に今は新婚まっただ中。
お互いを求めて抱き合う夜がない日はほとんどない。
最初のコメントを投稿しよう!