【4】 黒い万年筆

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政がやいやい言うのがおかしくて、加奈江は『人生の宿題』には触れず、「武先生にね、家族計画はきちんと立てておくんだよ、って言われたの」と茶目っ気を込めて言った。 彼女の髪を撫でる政の手が、ぴたりと止まる。 「それって、その……」 「あなたが考えている通りのこと」 あいつー、と政は呻く。 「まさか、親父も聞いちゃいないだろうな」 加奈江は困った顔をして沈黙した。 うわー、と政は布団の上で悶絶する。 「大きなお世話だ」 言う政の声は当惑を越えて照れている。 彼は健康な成人男子だし、加奈江も同様だ。 特に今は新婚まっただ中。 お互いを求めて抱き合う夜がない日はほとんどない。
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