【4】 黒い万年筆

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そして、所謂家族計画と言う名の男の責任は、全て政に委ねられており、彼が用意していた。 「ね、政」 「うん?」 「武先生に言われたからじゃないんだけど……。でも、ふたりの間のことだから……。話しておいた方がいいと思うの。これから、どうするのか、とか」 「子供のことか?」 「う、うん」 あなたの子供が欲しい、は恋愛小説で使い古された、女が男を誘うベタなセリフだ。 彼にはもちろん言ったことはない。けれど。 あなたの子供を産みたいと、本当は思っているの、子供の頃から変わらずずっと。 「今すぐは……無理だろうな」 やっぱり。 「そうよね」 同意をしてはみたけれど、彼女の口調は少し固くなる。
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