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胸の上でのの字を書く彼女の耳朶を食んで、政は次を促す。
「いつもあなたまかせで……いいのかな、って思ったの。だって男の人は……避妊具使うの、嫌がるって言うでしょ」
「どこでそんな話仕入れてきた?」
問い詰めるように言う、彼の声音は耳元で優しく彼女を詰る。
「しゅ……修学旅行でっ」
加奈江はつい口にしていた。
「本当かよ」
喉を鳴らして笑う声が淫靡に響く。寝間着の帯を解いてその下の素肌を這う指に彼女は震えた。
「で、でも、あなたばかりにお願いして悪いな、って本当に思っているの。だったら、私も、って。体温計るとか……」
「ピル飲むとか?」
「そう、その辺りのこと」
「俺は反対だな。避妊のためにカナが薬を飲むことなんて一切ない。身体に良くないんだろ? それに、ずっとってわけじゃないし。俺だって、子供は欲しいし」
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