39人が本棚に入れています
本棚に追加
角を曲がると、見覚えのあるプリリンとしたお尻が見える。
あの肩は…あの背中は…
「い…一之瀬先生」
ビクッと体を揺らし振り返った一之瀬先生は、すっかり1本の髪も残さず、真っ白なネクタイのような、綿100%のマンキニを着用している。
眩いばかりの後光が射し、眩しくて目が開けられなくなりそう。
「あっふ~ん…素敵やわ…」
うっとりしている私の前で、一之瀬先生はすっかり亀の頭のようになった自分の頭を照れ臭そうに撫でる。
「あれから一年…俺なりに考えてみた。見苦しくしがみついている自分は…やはり俺らしくないんじゃないかと」
「どんな先生だって、私の気持ちは変わりません。だけど…今の先生は、過去最高にイカして…惚れ直すわ~」
マジマジと頭の先とマンキニ姿を堪能する私に、たたんだ紙が手渡された。
「俺の…最後の髪だ。君にもらってもらいたい…」
「わ…私に?」
「俺には…もう必要ないからな」
真っ赤な顔で跪き、『俺ごと…まるごともらって欲しい』と潤んだ熱い目で私を見上げた。
最初のコメントを投稿しよう!