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項垂れる私の方に、キャッチャーミットそのままの手がおかれた。
しかしその手の破壊力は、おそらくアンキロサウルスの尾に若干劣る程度だろう。
「だが、君のそのガッツある行動力は評価すべき点だ。おおいに伸ばしていくことを願う」
「あり…がと…うございます!」
全身を駆け巡る衝撃は、過去最高のものだ。
「あ…あの…お名前を教えていただけませんか?」
肩を押さえ、鼻の穴全開で呼吸しながら、私はせめて名前だけでも聞いておかねばと、声を振り絞った。
「俺はこの学校で体育講師をしている、一之瀬縮雲(ちぢれぐも)と言う。あ、名刺を渡しておこう」
一之瀬先生は、股間からピンク色のピンポン玉を出し、『どうぞ』と私の方へ向けた。
“絆愛高等学校
体育講師 一之瀬縮雲”←手書き
私はジッと凝視してからハッとして、カバンから勝負用レースパンツを出すと名刺のピンポン玉を大事にくるみ、素早く受け取った。
「あ…ありがとうございます」
(ラッキー!一之瀬先生の大事な毛をゲットやでぇぇ!!外気にさらして飛ばされてみ、えらいこっちゃや。帰ったらコレクションケースにないないしとかな!
いや、先に匂いとぺろんちょで味もみとかんと。楽しみやわ~)
そんなことを考えているなんて思いもよらないのか、一之瀬先生は栗のいがのようにかたそうな真っ黒な髪を光らせ豪快に笑う。
(はっふ~ぅ♪美しい富士額…)
その日は、一之瀬先生に惚れ惚れしながら家に帰った。
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