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三年E組、浅井修一。
俺はずっと、こいつを見ている。
他の誰かに気づかれた事はない。
気づかれたら、流石にちょっとマズい。
なぜなら俺はこいつの事が、好きだからだ。
彼女いない歴、年齢と同じ。
でも、健全な男子高校生だったはずだ。
だが、高校に入って同じクラスの浅井を見つけて、気づけばかなり気にしてた。
まず、癖を見つけた。ペンを回す癖。
トマトが嫌いだ。弁当の彩なのに残してる。
猫が好きだ。近所の野良猫を見てるのを、見かけた。
そして、よくひまわり畑に遊びに行く。
髪型変わった。
あ、今日はなんか機嫌悪い?
某ドリンクのおまけストラップ、集めてるのか?
ここまできてもまだ、俺は自分の異常さに気づいていなかった。
ある日、女友達が俺に彼氏の愚痴をこぼしまくっていた。
その時、細かな所まで見てるなって、思っていた。
「なぁ、お前あいつの事結構知ってるのな」
一通り愚痴ってすっきりした女友達は、俺を軽く見たあとでゲラゲラと笑った。
「こんなに愚痴った後じゃ、ちょっと説得力ないけどね。
でも、好きになった相手だからさ、そりゃ見てるもんだよ」
この時だった、俺が浅井に対して異常な執着を持っているんだと、認識したのは。
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