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「一緒に、この黄金のリンゴを食べよう」
そう男の子が、金に輝く黄金のリンゴを、女の子に差し出した。
その黄金のリンゴは、まるで金のように光り輝く。大きさも小さく、子供の手のひらにおさまる程度。その二点も踏まえて、金塊で模られたリンゴだと言われても、その通りだと思ってしまう程だ。だが、男の子が、それは十歳ぐらいの少年が、その黄金のリンゴを力で真っ二つにすると、果肉がむきだしになる。中は普通のリンゴだ。白い果肉に、黒井種。黄色の蜜が果肉に浮かぶ。みずみずしく輝くリンゴの果肉に、少年と少女は、唾を飲み込む。
「い、いいの……?」
女の子が、恐る恐る聞き返す。こんな小さいリンゴを、分けても良いのだろうかと考えているのだろうか。そんな少女に、少年は満面の笑顔を浮かべながら、そのリンゴを勢いよく差し出す。
「一緒に食べよう! 黄金のリンゴ、きっと美味しいぜ!」
真っ二つに割られた黄金のリンゴ。その片割れを、彼女の手に握らせる。黒くて長い髪が特徴の女の子。少年と同じぐらいの年齢だろうか。背格好もたいして変わらない少女は、受け取ったリンゴを、綺麗な宝石を眺める様に目で楽しんだ。
二人は、目を配る。互いに黄金のリンゴを手にする自分の姿。食べよう。美味しいよ。うん。そう二人で、目で話し、頷く。黄色の蜜が食欲をそそる。白い果肉が、リンゴの味を脳裏に蘇らせる。もう一度、大きく唾を飲み込む。
口を大きく開ける二人。黄金のリンゴを丸々飲み込もうと、口を大きく開けようとする。その姿はさながら、動物が動物を捕食するように。腹をすかせた生物が、食事にがっつくように。少年少女は、ムシャムシャとリンゴにかじりつく。リンゴのみずみずしさが、喉を通る。リンゴの染み出るような旨みが、舌鼓を打つ。止まらない。止まらない。黄金のリンゴの味は、一言で言えば美味だ。他にひけを取らないような、絶妙な旨み。だから二人は、食べる事を止められなかった。数少ないリンゴを、夢中になって食べた。
美味しかった。おいしかった。オイシカッタ。
ホントウニオイシカッタ。
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