第14話

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三、四人の女性が入ってきて――。 その後ろに、ひとつだけ男の人の頭があった。 見つけたとき。 トクンって心臓が跳ねる。 会いたいと思うから。 だから、見えちゃうんだ。 ――だって、ここにいるわけないもん。 頭では思っていても、婦人たちの頭よりもひとつでているその髪が、後姿が。 まとってる雰囲気が……。 ――オオカミさんにしか見えない……。 「貴和子さん、巽さんといらしたんですか?」 少し高めの女性の声に、耳の奥に響いた“巽”って名前。 巽――オオカミさん……。
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