第14話

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――やっぱり、オオカミさん? 見えそうで、見えない顔にドキドキする。 貴和子夫人ってあの時、水族館のあとにあった人の名前だった気がする。 ってことは、やっぱり可能性は高くて。 わたしのいる方とは逆側に歩き出してるけど、その歩き方も……。 ――オオカミさんだ。 わたしが見間違うわけない。 ――絶対、ない。 ドキドキする。 声をかけたい。 でも、なぜか行けない。 オオカミさんの背中は、その歩き方はステージに向かってる時のように真っ直ぐで。 あの、別世界に向かうみたいな、そんな――遠い感じがして。
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