914人が本棚に入れています
本棚に追加
――やっぱり、オオカミさん?
見えそうで、見えない顔にドキドキする。
貴和子夫人ってあの時、水族館のあとにあった人の名前だった気がする。
ってことは、やっぱり可能性は高くて。
わたしのいる方とは逆側に歩き出してるけど、その歩き方も……。
――オオカミさんだ。
わたしが見間違うわけない。
――絶対、ない。
ドキドキする。
声をかけたい。
でも、なぜか行けない。
オオカミさんの背中は、その歩き方はステージに向かってる時のように真っ直ぐで。
あの、別世界に向かうみたいな、そんな――遠い感じがして。
最初のコメントを投稿しよう!