禿は、闇を照らす。

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「タゥスウ!」 朱華は驚き、庇った男タゥスウを見る。 「朱華、もう良いんだ。このハゲールの馬鹿げた禿体制を変えるのは無理だ」 「でも、でも。そうしないとタゥスウは…」 朱華はタゥスウの豊かな黒髪を見て涙ぐむ。 反社会組織カツラエルは、恋人や夫が毛がふさふさで社会的に虐げられている女達の組織。 「僕達の稼ぎが悪く、君たちに苦労をかけてすまない」 リオンヌの厨房から、りおの夫の琥太郎が出てくる。 琥太郎の髪の毛もふさふさだ。 普段毛がある男達は、ふさふさの髪を隠す為にハゲカツラを被っている。 厨房に居た、寒波とユウも出て来て恋人の隣に寄り添う。 寒波の頭もユウの頭も、毛がふさふさだ。 「皆、僕達の為にやっくんに毛を生やそうと…すいません」 寒波が頭を下げる。 豊かな頭髪が、ふぁさぁっと揺れる。
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