禿げない男は、ただの男。禿げてこそ漢。

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「御注文はお決まりですか?」 朱華が、明るく変装したやっくんに話し掛け注文を聞く。 ずっきゅん。 やっくんの中で、金が鳴り響いた。 朱華の笑顔にやっくんのハートが撃ち抜かれたのだ。 禿のやっくんがきゅんとなりながら注文する。 「お、お勧めのケーキを」 「はい、リオンヌスベシャルですね。セットになさいますか?」 「…は、はい。じゃあ、このローズティーを」 「はーい、オーダー入ります。リオンヌスベシャル1、ローズティー1です」 やっくんは、ぼーっとなったまま朱華を見ていた。 そんな朱華は、やっくんの気持ちに気付く事なく普段通りに接客をし、会計を済ませたやっくんに 「ありがとうございました。またどうぞ」 と、お決まりの台詞で見送った。
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