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上手く出来なかった、満足させてあげれなかった、怒っているに違いない。慣れないことをするべきではなかった。「ご、ごめっ……なさ」唾液と精が混じり、垂れる口元を拭った。
「謝らなくていいよ、下手くそなりに一生懸命だっただろ。イキそうだった」。俺の髪をくしゃりと撫でる。ふわりと心が軽くなる、嬉しくなるなんて。
「こっちの方になると人が変わるよな。別にいいけどさ、俺は」
「意味が分かりません」
こっち?俺は俺だ。
「……わからなくていいよ。誰にも見せるなよ」
誰にも……?
「そのエロい顔」
脱衣所で、ふかふかのバスタオルで髪や体を拭く。大雑把な拭き方だったが優しさが伝わった。濡れた髪のまま寝室へとなだれ込む。充分に後孔を解したあと、ずっと熱を保ったままの昂りが一気に貫く。その衝撃で大きく腰が跳ね上がる。毎回思うのだが、ずっしり重い質量に全身が震えた。
「……あっあ……っ」
初めは浅い箇所を小突く。奥は力強い、纏わり付く内壁を抉るようにリズムよく突き上げていた。でも違ったのは……。
「……っ……んっ…あ……澁澤さっ……ひっ」
弱い抽送のときは、頬を撫でたり指先で唇をなぞったり。いつもと違う感覚に疑問が浮かんだが、すぐに消えた。
あれから何回、達したのだろう。後処理に行く気力が沸いてこない。後ろがヒリヒリ痛い。
「今日は勝手に帰らないんだな」
起きてたのか。どきっとなる。
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