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二時間ほど涼が住むアパートにお邪魔することにした。六畳一間の間取りのアパートは、ベッドをキッチン側に寄せて、窓辺はくつろぎスペースになっている。
「狭くて御免ね」
「俺が住むアパートだって狭いよ、似たようなもんだ」
「そうだったけ?」と微笑む涼は本当に優しい。長い睫毛が揺れ、小さな唇の口角を上げる。この笑顔が戻っただけでも……。
「ご飯の準備が出来るまで、柊佑をみてくれる?」
「ああ、柊佑、上着脱ごうな」
「けーちゃ」
「はいはい」
「うーっ」
うーっだって。なんだよ、めちゃくちゃ可愛いな。さらさらな黒髪とお目々ぱっちり、色白なところが良く似ている。涼は手慣れたもんだ、洗濯物を洗濯機に入れ、ある程度片付けをするとエプロンを引っかけ冷蔵庫を開ける。じゃがいもと人参、玉葱を取り出した。
「大したもの、ご馳走出来ないけど。じゃが肉だよ」
「じゃが肉?柊佑、こっち」
「牛肉高いしさ。豚こまで勘弁して」
ああ、なるほど。じゃがいもがメインか。つかまり立ちを始めた柊佑を抱っこする。胡座をかく俺の膝の上に乗せた。
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