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片山さんの悪い癖、それはお酒好きが災いした絡み上戸、笑い上戸だ。去年の忘年会も後半からはっちゃっけて、迎えにやって来た旦那さんがひたすら頭を下げていた。気の毒だった後ろ姿の記憶が蘇る。日々、そつなくテキパキこなすお局様のたがが外れた意外な1面は、お酒を飲むと人が変わる。彼女を幹事役に抜擢したのは、飲酒を控えるだろうとの思惑らしいが…。
うん、見事に外れたな。
「総務部長、そのお腹!やばいですよ!」
俺たちが言えない言葉をばんばん投げつけていた。
「誰だ、酒を飲ませたのは!」
「知らないですよ、喬木、ちょっと来い!」
「は、はい!」
よいしょっと立ち上がる。総務部長のでっぷり肥えたお腹をぽんぽん叩く片山さんを止めに入る。
「タヌキ……っ。お腹、気持ちいいれすっ。柳本課長、髪の毛っうっすぅ!」
「片山さん、あちらに行きましょう」
「ああん?喬木っ。よく見ると可愛いかおっ……ぶふっ」
あかん、ダメだ。最初の乾杯は総務部長の挨拶と共に。ビンゴゲームもなんの問題も起きなかった。
彼女は我慢していたのだ。前半は鍋をつつき、俺と片山さんは飲み物のお代わりやら会費の計算、気を遣って忙しく動く。少し目を離した隙に、やらかした…。
「ぷはぁ、日本酒、最高ね!美味しいわ、おねぇさぁぁん、アサヒのスーパードライ2本もってきて!」
「幹事がそんなに飲んでは……」
うぐぐ。女性なのに、なんて力なんだ。出入り口側に引っ張って行けない。
「……旦那さんにきて貰おう」
完全に引いている小橋が冷め切った目で提案をする。そうだ、旦那さんに迎えに来てもらおう。女性社員の井上さんに連絡をお願いした。
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