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24日。澁澤さんと過ごす予定だったクリスマス。二度寝、三度寝をして、ちゃんと起きたのが夕方の4時前だ。シャワーでも浴びるか。その後は、近所のケーキ屋さんで売れ残ったクリスマスケーキを購入しよう。お洒落なシャンパンは必要ないな、スーパーの売れ残りで充分だ。
グゥ。
なにもしなくてもお腹は減るんだ。また枕が濡れていた。俺のハートは想像以上に傷つき、壊れてしまったようだ。……もう二度とあんな幸せな……至福の時間を過ごす日は訪れないだろう。
そして毎日のように確認をしているのがスマホのアドレス帳のチェックだった。ラインのブロックはなぜか無し、着信拒否の設定の解除がどうして分かったのかというと。……ワンコールで切ったんだ、まさか繋がるとは思わなくて。だけど、それっきり。意気地がない俺は再度掛ける勇気が湧いてこない。
シャワーを浴び、髪をドライヤーで乾かし、セーターとジーンズに着替えが終わった時だった。ピンポーンとインターホンが三度鳴る。宅急便の荷物など頼んでないし、心当たりがない。荷物……。段ボール箱はそのまま封を開けず、ベッドの横に積んだままの状態だった。
ガチャリ。
ドアを開けてみると。
「圭吾、メリークリスマス!ほら、柊佑も言ってあげて」
「けー…ちゃっ。……めっ……ましゅっ」
「り、涼?柊佑!」
なんだよ、このサプライズ。柊佑の「めっ……ましゅっ」って、メリークリスマスっていいたかったのかな。モコモコのあったかなウェアを着た柊佑を抱っこする涼の後ろには、
「メリークリスマス。莉子ちゃんがクリスマスディナーを沢山作ったんだ、アパートで待っている。食べきれないからお前も呼んで来いって煩くて。喬木の友達?一緒に来いよ、パーティーは大勢で楽しい方がいい、盛り上がろうぜ」……小橋まで。
今日は1人で過ごそうと考えていたんだ、こんなに嬉しいサプライズはないよ。
「いいの?……ちょっと待ってて。ダウンジャケットを着てくるよ」
俺の足取りは軽かった。
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