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とても賑やかで、楽しくて。心が暖かくなる素敵なクリスマスパーティーの始まりだ。ペリエ・ジュエベルのシャンパンを、俺と涼ももちろん頂いた。
「このシャンパン、美味しいね。花の味?焼き菓子のような……。柊佑、ぐちゃぐちゃに食べちゃ駄目だよ。今日だけは我慢してね」
「あい、ぱぁぱ」
莉子さん手作りのクリスマスケーキを手づかみで食べはじめたのだ。柊佑の、ぷくぷくなほっぺたの周りは生クリームの代わりに使用した、ヨーグルトがベタベタについている。
涼が甲斐甲斐しく柊佑のお世話をする中、小橋と涼がなぜ、同じ時間帯にタイミングよく俺の住むアパートへ訪れたのか。チキンをいただきながら尋ねてみた。
「羽住くんと出会ったのは偶然だったんだ。つか、喬木。お前のスマホ、充電切れだっただろ?朝から何回、かけたと思ってる?夕方に迎えに行くよとだけラインを入れといた」
「ご、ごめん」
わー、めちゃくちゃ寝たからな。充電器に繋ぐのを忘れてた。充電器切れのスマホはアパートに置きっぱなしの状態だ。
「小橋さんと出会ったのは偶然だったんだよ。僕はピアノの発表会が3時頃に終わって、お袋のところに預けていた柊佑を迎えに行ったんだ。以前、僕のアパートに圭吾が来たときに様子が変だったから。元気がなかったよね、クリスマスは1人で過ごすって」
……ずっと気にしてくれてたんだ、ホロリとなる。涼も、何度か俺のスマホに連絡を入れてたらしい。全然繋がらない、メッセージを送っても返事がない。
心配をした涼が俺のアパートへやって来て、玄関の前でうろうろしている時に小橋と鉢合わせをした、というわけだ。
「ごめんなさい、2人とも。俺が悪かった、心配をかけてごめんなさい」
申し訳がない。ダイニングテーブルに手をつき、深々と頭を下げた。親友2人が気に掛けてくれてた、俺の心が少しずつ救われた気がしたんだ。ありがとう。
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