『電車のプリンス』

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 ドンッ……!  軽くぶつかる音がした。澁澤さんの胸に自分の肩が当たったのだ。見上げると、なんて目映いオーラなのだろう。なんかもう、なんかもうっ。まともに目を開けていられない────。 「だけど全然お似合いじゃないです」  男の子は引き下がらない。  ええ、そうでしょうね、俺だって不釣り合いだと分かってますから。 「じゃあさ、どうやったら信じてもらえるの?」    困った表情を浮かべる澁澤さん。 「もういいだろ、圭悟が誰と付き合っていても」    さすが葉山さんだ、大人の対応だ。『もういいだろ』の一言で渋々引き下がってくれた。 「葉山さんがそう言うのなら分かりました。だけど、なんか腑に落ちないです」 「もう行くぞ」  軽くその男の子の袖を引っ張り『圭悟』と名前を呼ぶ。澁澤さんの腕の中、ドキッとして葉山さんの顔を伺うと彼は少し寂しそうな笑みを浮かべていた。
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