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も、もちろんです!
食べるのか、泣くのかどっちつかずで大きく頷く俺がおかしかったのか「…喬木さん……あの。その……うん、泊まってくよ。……ほんと……面白くて…………飽きない」微かに口元を歪めていた。よしよしと撫でていた手を止める。小さく「……可愛い」、はっきり俺にも分かるように囁いた。
か、可愛い?
頭のてっぺんから湯気が出てきそう。これも日記に残そう、本気でダイアリー帳を買いに行こうと考えた。
美味しい 食事を終えたあとは「さきにお風呂に入りなよ」、と俺を気遣ってくれる。最初は澁澤さんが入ってくださいと遠慮をしたが、入れとうるさい。仕方なくこちらが折れてお言葉に甘えさせてもらった。
本当に付き合いはじめたんだ──……。
バスタブにゆっくり浸かり、キスをしたこと。好きだと言ってくれたこと……現実なんだ。あたたかなお湯の気持ちよさも手伝い、心がぽかぽか、ほっこり。
俺ももっと、澁澤さんや他の人を気遣える、優しい人になりたい。そして涼や律ママみたいに強い人になりたい。しあわせだなぁ……。律ママ……。胸の奥がずきんとなる。俺のことを本気で心配していた。いずれはっきりと打ち明けよう。反対をされても傍にいたいと。
「狭いですよね、澁澤さんはベッドで寝てください」
「どうして?一緒に寝よう、こっちに来いよ」
カーペットの上に毛布を二枚敷き、シングルロングの掛け布団に二人で包まった。まただ、どきどきする。
「喬木さんはいい匂いがするなぁ。俺の……好きな匂いだ」
頬を擦り寄せ鼻をすん……と鳴らす。エッチは週末まで待つといってたが俺の唇を数回啄んだ。もっと深い口づけを。口を開けると器用に滑りこんでくる。
舌を絡めあう水音が鼓膜に響いた。キス一つで心が満たされる。両想いってなんて素敵なんだろう。過去の、無気力に生きてきた自分に教えてあげたい。
「……んっ……ふ…ぅ…」
「ここでストップするよ。我慢できそうもない」
澁澤さんの胸の上に頭を乗せてみた。大きな掌が、愛おしそうに俺の髪を掬う。時間が許す限り寄り添い、たくさん話しをしたんだ。
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