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シャンパン、髪型、服もOK。新しい図面ケース入れと……とびっきり豪華に、クリスマスのギフト用の包装紙に包んでもらったプレゼントも持った。着替えは、以前購入をした服一式を澁澤さんが住むマンションに置いたままだ。
ネイビー色のマフラーを巻き、同色の手袋を嵌める。アパートの鍵をカチャリ。回す瞬間、俺は………明るい未来を想像した。
「いらっしゃい、喬木さん」
「お邪魔します」
澁澤さんが住むマンションに訪れたのも久しぶりだった。機嫌がいいのか、目元を綻ばせ立っている。午後1時、アパートまで迎えに行くよとメッセージが入っていたが、一人でぶらぶら、ゆっくり向かいます、と丁重にお断りをした。
「荷物を持つよ。……喬木さんはマフラーを巻いてても、頬が赤いね」
「え、あ、はい、ありがとうございます。そんなに赤いですか?」
「うん」
わぉ、上機嫌だ!その整った涼しい横顔に、つい見惚れてしまう。今日も、私服姿の澁澤さんはお洒落だった。クルーネックセーターとスキニーパンツのシンプルな格好なのに、とてもよく似合う。
「奥へどうぞ。さきにツリーを飾ろう。食事の準備は……付き合っている子と一緒に、キッチンに並ぶのが憧れだった」
「憧れ、ですか?」
「まぁね」
憧れ、か。相手が俺でいいのでしょうか?心の声が伝わったようで「他に誰がいる?」そう答えが返ってきた。完全な二人だけのプライベートタイム。クリスマスツリーを飾り、食後はアフタヌーンティーをしようと。……俺好みの茶葉をチョイスして、買ったまま置いてたそうだ。また一つずつ、思い出が増えていく。今夜は素敵な夜になりそうだ。
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