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「来週の半ば、有給を取らせて下さい」
は?なに寝言を言ってるの?みたいな顔色を、柳本課長は浮かべる。
「有給です。週の半ばでしたら、仕事に支障を来さないでしょう?大事な予定があります」
珍しく意気込み、一言一句、強めに頼んでみる。柳本課長の方が目を丸くしていた。
「忙しいのは週の初めと週末ですよね。半ばですと取りやすいかな、と思いました」
「でも、君の代わりに雑用する人が」
むっとする。自分で考えてみたらどうなんだ?女子社員に不必要な雑用を頼むと自分の株が下がる。来年のバレンタインデーのチョコレートが減るかもしれない。
「とにかく大事な用事があります。俺だって有給を消化する権利があるでしょう?」
バン!
柳本課長のデスクの上へと有給休暇の届出を叩きつけた。もし文句を言ってきた場合、本社へ連絡しよう。その状況を眺めていた小橋の短い口笛が聞こえた。
「やるな、喬木」
…
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