『電車のプリンス』

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 1週間。朝の満員電車で 噂の彼と同じ車両に居合わせたのは、たったの1週間だ。その間、ちらほら見惚れる女性達(女子高生もいたなぁ)は彼のことを『電車のプリンス』と勝手に呼んでいた。  電車のプリンス?2次元か漫画か、ゲームの世界?一端の社会人の男性に向かって『プリンス』ねぇ。喉元から笑い声が洩れそうになる。けれど彼の場合はピッタリの形容詞なのだろうな、違和感がない。  同じ車両に居合わせていても、出入口に近い場所に立つ俺は中央より先頭に近い場所に立つ彼と数メートルほど距離が離れていた。  そして噂の『電車のプリンス』の傍に立つ日がとうとうやって来る。    神様が『あんたもたまには、いい男の傍に寄りなさいよ』、と気紛れでも起こしたのか。初めて口を利いた日が忘れられない日となった。
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