『電車のプリンス』

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「次の駅で降りな」 (……次の駅で降りな?)    まさか俺?!すぐ浮かんだ疑問が正解だと悟った。逃がしてなるものかと睨み上げる瞳が鋭い。声が低い。  完全に誤解をしたのか、血の気が引く思いだった。電車内が騒然とする。なんせ朝の通勤、通学のラッシュ時だ、騒ぎがでかくなる。 「ちょっと待って下さい、勘違いをしてませんか?」 「素直に認めたらどう?貴方もいい大人でしょう?」 「だから違います……!」  ほんとに 違うんだ! 「大人しそうな面して、やることは姑息だな」 「俺はなにもしてません、貴方の勘違いだ」  一部の、好奇心一杯でこの光景を眺める女性達(瞳がキラキラ輝いてる)を除いた人達以外は、焦る俺に軽蔑の眼差しを向けていた。完璧に引いている。    産まれて齢28年。確かに貴方がイケメンなのは認めよう。けど、こそこそと男の尻を触った経験はない。断じてない。もし触るとするのなら、フルボッコされる覚悟で堂々とゆく。
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