『電車のプリンス』

8/23

2315人が本棚に入れています
本棚に追加
/253ページ
「降りるのか降りないのか、どっちにするんだよ?」 「降り、降り……!」  降りないに決まっている。だって俺は、ほんとになにもしていないのだ。 「あなたさ、どっかの商社の社員だろ?その社員バッヂ、どこかで見たことあるんだよねぇ。えーと、どこだっけかなぁ?こんなくだらない事で一生を棒に降りたくないでしょ。素直に認めろよ、俺だって許してやらない事も」 「だから何度も言ってますが、俺はしてません!貴方の頭がおかしいんじゃないんですか?」 「おかしい?」  頭一つ分、俺より背が高いからって、鋭い視線を投げつけないで下さい。  半強制的に、半ば強引に、俺の腕を掴むと次の駅へ引きずり降ろす。ホームへ降りると不穏な空気が漂う。  会社!あと2駅なのに……。    目の前ですごむイケメン、半端ない。ポスターみたいなものを縦長に丸めた棒で俺の頭の上を「ほらほら早く吐きな。それか貴方は男のケツを触って喜んじゃ うホ○ですかぁ?」軽く叩く。意地悪そうに整った唇の端を上げていた。
/253ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2315人が本棚に入れています
本棚に追加