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「部活…の…顧問…?」
俺はその言葉を理解するのに時間がかかった。
部活の顧問か…俺バスケ部の副顧問を元々任されているんだよな。
と言っても俺は補助みたいなものだから、掛け持ちは出来るだろう。
「なんで俺に部活の顧問をやってほしいの?」
「えっ…」
放課後の遅い時間帯で夕日に照らされているからだろうか。
彼女の顔は真っ赤だった。
「えっと…あの…」
困ったようにもじもじしながら彼女は俺を見つめた。
その姿が実家で飼っている猫が餌を欲しがる姿と似ていたからか、俺は無意識のうちに彼女の頭を撫でていた。
「んっ」
彼女の反応が面白くて撫でていたが、彼女は少し寂しそうな表情をして俺の手を払いのけた。
どうしたのだろう?
「相良先生、軽々しく女の人の頭触っちゃダメなのです」
「あっ、そうだよね。ごめんね美作さん」
俺が謝ると彼女は俯いてしまった。
セクハラになってしまうという主任からの指導を思い出し、彼女の悲しそうな顔を見て反省しつつ話を続ける。
「で、美作さんは何の部活に入っているの?」
「どこにも入ってないのです」
「えっ?でも、顧問が必要なんじゃ…」
よくよく考えてみると、既にある部活なら顧問の先生は決まっており、新しく顧問が必要になるのは学園を離れる先生の代わりが必要になる時だけで、それでも入学式の前までには顧問は決まっている。
ということは、新しく部活を作りたいということだな。
「美作さんは新しい部活を作りたいんだね?」
「はい、そうなのです!」
さっきまで落ち込んだような顔をしていたのに、急に元気になって笑顔がとても輝いていた。
表情がころころ変わって面白い。
「私、学園を制圧することを最終目標にした部活を作りたいのですよ!」
「学園制圧ね……はいっ!?」
俺は何度彼女に驚かされたのだろう。
空いた口が塞がらない。
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