自称神様は中庭に降臨する

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「相良先生、私と一緒に頑張るのですよ!」 「いやいや、そんな部活認められないよ」 「イチゴパンツ…」 「あー、それもダメ。でもなぁ…俺どうしたらいいんだよ」 俺が頭を抱えて悩んでいると、彼女はそれを遮って話し出した。 「私を取るか、自分を取るかなのですよ先生」 「どうして自分と美作さんを天秤にかけなきゃいけないんだよ」 「天秤になんてかける必要ないと思うのです。そもそも私は神様で先生は普通以下の人間なのです」 「俺、普通以下なんだ…」 俺が落ち込んでいるのも気にせず、彼女は似たような質問を繰り返す。 「相良先生、どっちを取るのです?」 「どっちって?」 「とぼけるのはやめるのです。私か自分、どっち?」 自分はどうでもいい訳じゃないが、顧問を引き受けて頑張ってみたい思いのほうが強かった。 そう、俺の答えは最初から決まっていた。 「顧問はやるけど、なんで俺がいいの?」 「相良先生、この前体育館に移動する時コケてましたよね。あれを見てビビっときたのです。あんな滑り芸ができるのは相良先生しかいないと。だからなのです」 「恥ずかしい姿見られて、尚且つそれを芸とか言われる俺って…」 「じゃあ、相良先生顧問よろしくなのです」 彼女は俺の返事を待たずに走って帰って行ってしまった。 俺はどうしていいかわからず、彼女が走り去って行くのをただ黙って見てることしかできなかった。 俺はこの日、自称神様にパンツの柄がイチゴだという弱味に付け込まれ、止むを得ず謎の部活の顧問になってしまった。 それは、新緑がキラキラと輝き風が優しく頬を撫でる5月の初めの頃だった。
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