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放課後になり、俺と原田先生は教室に残っている生徒がいないのを確認した後、正面玄関で待ち合わせをした。
「相良先生、目隠しの準備はできてます?」
「はい。この学園の地図を持ってきたので迷子にはならないと思います」
俺は原田先生に見せつけるように、地図を高らかに掲げる。
目隠しで歩き回るということで地図を準備していた。
これで迷子にならずにすむ、俺の作戦勝ちだ。
「あの…相良先生?目隠ししたら地図見えないから持ってきても意味ないと思いますけど」
「あっ…」
誇らしげな表情の俺に、原田先生が申し訳なさそうな声を出した。
俺のテンションは一瞬にして下がってしまう。
何をやっているのだ俺は。
ただの紙切れに一喜一憂するだなんて。
「相良先生らしいです。でも、相良先生は地図があっても迷子になってるからなぁ」
原田先生が残念な人を見る目で俺を見つめる。
自分の迷子癖をなんとかしたいと思っているのだが、解決策が見つかっておらず困っていたのだ。
「うーん。迷子にならない方法ってあるんですかねぇ」
「相良先生って困ると首傾げるんですよね。わかりやすい」
原田先生はそう言いながら、俺の真似をして首を傾げた。
「えっ、俺そんなことしてました?無意識のうちにやっていたようです」
「可愛いですねー。ほら、早く目隠ししてください」
なんか原田先生に馬鹿にされた気がするんだが、気のせいかな?
とりあえずアイマスクを装着してみた。
うーん、俺なんでこんなことしてるんだっけ。
「相良先生、目隠しをして校内を歩くことによって『覚えよう』という意識がいつも以上に働くんですよ。毎日続ければ迷子を克服出来ますよ」
俺の横にいるであろう原田先生は、俺の頭の上に手を乗せながら持論を説明していた。
「理屈はわかりましたけど、俺にも出来るのでしょうか」
「出来ますよ、相良先生は可愛いんですから」
「可愛いのは関係ありませんよね?」
俺の疑問に答えることなく、原田先生は高らかにスタートの合図をしてきた。
「さあ相良先生、目隠しプレイの始まりです!」
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