17人が本棚に入れています
本棚に追加
どれくらい時間が経ったのだろうか。
目隠しをして歩き回っているため、時間も現在地もわからない。
1つだけわかることといえば、ひと休みしたいと思うくらい歩いたということだ。
「ここはどこだろう?原田先生…はいないみたいだ」
俺はどうやら迷子になってしまったようだ。
校内を把握していない者にとっては、原田先生の自論は通用しないということに今更気がついてしまった。
真っ暗でよくわからないし、近くに原田先生がいる気配もない。
壁を触りながらゆっくりと歩を進める。
俺はどこへ向かっているのだろう。
本当に今更なのだが、これにゴールはあるのだろうか。
そんなことを考えながら進んでいくと、水の音が聞こえることに気がついた。
「中庭の噴水?」
この学園には噴水がある。
よく生徒がお昼休みに利用しており、憩いの場として人気なのだ。
壁が途切れたこと、水の音がすることから自分が今いる場所がどこなのかやっと把握した。
「原田先生はどこに行ったんだ」
俺は休憩しようと歩くのをやめて、噴水があるであろう方向に顔を向けた。
風が気持ちいい。
すると誰かが近づいてくる音がした。
「原田先生かな?」
そう思って目隠しを取ろうとしたら何かが背中に刺さった。
「えっ?」
「動かないでください。動いたら撃ちますよ」
最初のコメントを投稿しよう!