自称神様は中庭に降臨する

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俺は昔観た刑事ドラマのワンシーンを思い出していた。 たしかあれは…1人の刑事が事件の真相に辿り着いて仲間の刑事の元へと向かう途中、犯人に見つかって銃を背後から突きつけられるシーン。 当時はそのシーンに瞬きすることが惜しいくらいとても興奮していた。 推理小説を読んでいる時もそうだが、『俺ならこうする』『俺ならこんなヘマはしない』など自分なりに完全犯罪を思い描いては友達と語り合い、嬉々としていた。 だがそれは、自分がそうなることはない・しないという思いがあるからで、実際に巻き込まれると冷静に考えて行動することが難しくなる。 今の俺もそうだ。 こんなことを考える余裕があるにはあるが、冷静ではない。 矛盾してるようでしてない、人は窮地に追いやられるとこうなるのではないだろうか。 そして俺は、昔観た刑事ドラマのワンシーンをまた思い出し、まず両手を挙げて、相手に抵抗のない素振りを見せた。
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